LabNews ~2009
LabNews ~2009
食育ヤングリーダー支援助成事業報告会
「意外と悪くない朝食」
大阪府の「食育ヤングリーダー助成事業」の発表会が大阪府庁で行なわれました。私たちの研究室からは「意外と悪くない朝食」について発表しました。これは今年3月2日のLab Newsで紹介した、河本奈菜さんと中尾仁美さんの卒論「一人暮らしの学生の自炊の促進を目的とした食事の検討」と同じ路線で行なったものです。助成事業は院生が全員で行ないましたが、発表は井上なぎささんと岡田佐知子さんの2人が行ないました。
理想の朝食は「一汁三菜」といわれます。しかし、ごはんを主食にした場合には卵・納豆・牛乳・100%柑橘系ジュースとの組合せ、パンを主食にした場合は卵・牛乳・バナナ・オレンジとの組合せで、いわゆる理想の朝食と栄養面で同等であることを報告しました。
この事業には本学の学生トレーナーチームが協力してくれました。全員が「一汁三菜」でなければいけないと思っていました。しかし今回、上記のような調理する必要のない食品の組合せで栄養面の問題がないことを知り、「こんなんでええの?」と驚くやら安心するやらしてもらいました。
ポイントの一つは食事量が少なすぎては、どんなに食品を組み合わせてもダメだということ。食事量が少なくてもそれぞれの栄養素のバランスを、例えば1日必要量の30%ずつのように整えることはできます。しかし、これではバランスは整っても必要量の30%しか摂れません。栄養素はバランスを整えることと同時に必要量を満たさなければ何にもなりません。むしろ、食事は量をきちんと摂っていれば、必要な栄養素のバランスは自然に整って来る傾向があります。
ごはんは茶碗1杯ではなく2杯、6枚切りの食パンなら1枚ではなく2枚が基本。これに上述のような食品を組み合わせることが大切です。西洋のコンチネンタルスタイルの朝食では、果物(ジュース)と牛乳(乳製品)を摂ります。この組合せには意味があるということです。
発表会終了後、感想を求められたある企業の管理栄養士さんが参考になった情報の一つとして「意外と悪くない朝食」をあげてくれました。
一般の人にとって「バランスよい食事を摂る」ということが、「手間をかけていろいろな料理を摂らなければならない」と脅迫されているようなことになってはいけません。
それから、報告会で「低エネルギー」「食塩控えめ」「低脂肪」という表現が目についたのが、ちょっと気になりました。
食べ過ぎはいけません。しかし、食べないと元気がでないので動きたくなくなります。これでは、成長期の子供によくないのはいうまでもありませんが、メタボ対策としてもあまりよくないのではないかと思いました。「しっかり食べてしっかり動く」ことが元気な社会につながるはずです。
食糧自給率40%弱の国では、少なく食べることを推奨する必要があるのなら話は別ですが……。
日本体力医学会2001年、仙台
2001.9.21【日本体力医学会速報】
激しいスポーツで味覚が変わる?女子水泳選手で運動後の甘味閾値が低下
日経BP Network, MedWave: http://medwave2.nikkeibp.co.jp
岡村氏らは同大学の運動選手には、スポーツドリンクが「甘すぎる」と水で2〜3倍に薄めて飲用する者が多い点に着目。女子水泳部選手19人を対象に、様々な濃度の砂糖水を用いて、5000メートルを泳ぐ3時間のトレーニング前後で甘味の感じ方がどう変わるかを調べた。
その結果、砂糖水を「はっきりと甘いと感じる」濃度(甘味閾値)が、運動前の2.217g/dlから運動後は1.845g/dlへと下がることを確認。有意差はないものの(p=0.0515)、激しいスポーツの後では、低濃度の砂糖水でも甘味を感じやすくなる傾向があることがわかった。
また、蒸留水と4種類の濃度の砂糖水(2.5%、5.0%、7.5%、10.0%)の、合計5種類の試験液を使った官能測定では、運動前よりも運動後に、2.5%砂糖水よりも5.0%砂糖水を「甘い」と感じる人が増加した。また、2.5%砂糖水よりも蒸留水を「好ましい」と感じる人も増えたという。一般的なスポーツ飲料の糖分濃度は5%前後であり、「甘すぎるので水で薄める」との行動を支持する結果になった。
運動が味覚に与える影響については、中等度の運動を30分間行っても、甘味や苦味などに対する閾値は変化しなかったとの報告がある。これに対し、岡村氏は「スポーツ選手の運動量は極めて多いため、激しい運動を行う場合は、味覚への作用が中等度の運動を短時間行う時とは異なるのではないか」と推察する。
しかし、今回の試験対象は水泳部の女子選手で、砂糖水を使った実験であり、1.プールの水の味覚への影響、2.女子と男子の味覚の違い、3.スポーツドリンクの糖分以外の成分が味覚にどう影響するか‐‐など、今回の結果をスポーツ一般に当てはめる前に除去しなければならないバイアスも多い。こうした点について、「今後の課題としたい」と岡村氏は述べた。
日本スポーツ栄養研究会
(高崎健康福祉大学)2008年7月
✦尿中尿素窒素排泄量を指標とした男子アスリートにおける1食当たりのたんぱく質摂取量の上限に関する検討. 井上なぎさ、近藤衣美、田井伸二、岡村浩嗣
✦一人暮らしの学生アスリートのための簡便な朝食の検討. 岡田佐知子、井上なぎさ、岡村浩嗣
✦消化・吸収速度の速いたんぱく質と遅いたんぱく質の組み合わせは血中アミノ酸濃度を長時間、高く維持する. 廣田あゆみ、近藤衣美、井上なぎさ、岡田佐知子、岡村浩嗣
日本栄養・食糧学会 2008 年 女子栄養大学
•運動後のラットの食欲及び肝臓と骨格筋グリコーゲン再補充に対する運動中の酢酸摂取の影響. 家治慶子、岡田佐知子、近藤衣美、田井伸二、岡村浩嗣
•メントール香料の冷感成分が運動中の自発的な水分及び糖質補給に及ぼす影響. 岡田佐知子、近藤衣美、田井伸二、岡村浩嗣
•急速減量と緩徐減量が減量後の若齢ラットの体組成に及ぼす影響. 田井伸二、近藤衣美、岡村浩嗣
•運動による筋肥大に対するたんぱく質の摂取量と摂取タイミングの影響. 近藤衣美、井上なぎさ、岡田佐知子、家治慶子、廣田あゆみ、岡村浩嗣
•体育系男子学生における1食当たりのタンパク質摂取量と尿中尿素排泄量の関係. 井上なぎさ、近藤衣美、田井伸二、廣田あゆみ、岡村浩嗣
大学院特別セミナー
古旗照美さん
2008年9月26日(金)の大学院特別セミナーは「健康・スポーツビジネスにおける栄養士の仕事」というタイトルで、講師は株式会社しょくスポーツのこばたてるみさんでした。スポーツ栄養に関わったきっかけ、創案された食育と運動を組み合わせた食育プログラム「食育アドベンチャー」のことなどを話して下さいました。管理栄養士というと病院や給食。スポーツ栄養に関わろうとするとサプリメントメーカー勤務というイメージがある気がします。しかし、こばたさんの話は他にもたくさんすることがあることに気付かせてくれました。
2008年10月3日
大学院特別セミナー/久木留毅先生
専修大学・日本オリンピック委員会 情報・医・科学専門委員会 情報戦部会 部会長
「 スポーツ情報戦略 -北京オリンピックにおける情報戦略を中心に-」
10月3日の大学院特別セミナーは、北京オリンピックでの各国の取組み、日本の関係者がどんなことをしていたのか、我々が知らないところで、いろいろな役割の人たちが、様々な貢献をしていたことを知って、驚いたこと、感心したことが多くありました。
誰がどんな情報を欲しているのかは、正しく把握しておく必要があります。入手した情報を活用するためには、知らせるべき内容を選択し、どのように伝えると効果的なのか、そして特に「誰に伝えることが重要なのか」を考えなければいけないということは、大変にためになりました。
誰に伝えるかによって、その情報が活かされるか活かされないかが決まります。影響力のある人、実行力のある人、組織の意思決定の権限のある人などに伝えることが重要です。
そういう人は忙しいので、情報は簡潔である必要があります。まず関心を持ってもらわなければいけません。詳しい情報の説明は、まず関心を持ってもらってからです。
Experimental Biology 2009, New Orleans
Experimental Biology 2007, Washington DC
日本栄養・食糧学会 2007年京都国際会館
鈴木志保子先生(神奈川県立保健福祉大学)による大学院特別セミナー「競技選手の食生活指導」が開催されました。科学的な裏付けをもったサポートをスポーツ選手にしてゆくために重要なことが満載のセミナーでした。
2007年9月28日金曜日
Mhairi Keilさん(英国スポーツ科学研究所)来研
2007年9月28日金曜日
小清水孝子先生 大学院特別セミナー
2007年10月12日金曜日
11月9日の大学院特別セミナーは、鈴木正成先生を講師にお迎えして「スポーツ競技力向上と健康づくり〜レジスタンス運動による体たんぱく質合成活性化の重要性〜」というテーマで行われました。セミナー後のHappy Hourには、修了生、卒業生も出席してさまざまな話題で盛り上がりました。
2007年11月9日金曜日
2007年度卒論発表会
河本奈菜さんと中尾仁美さんの共著の卒業論文は「一人暮らしの学生の自炊の促進を目的とした食事の検討」。発表後、数人の先生が私のところへやってきて「衝撃的な発表でした。卵かけごはんでいいんですね」と言ってました。
「卵かけごはん」だけではちょっと足りないものがありますが、ハム、ヨーグルト、みかんかバナナを加えると栄養面からはほぼ「完璧」。
同じ路線で、大阪府の「食育ヤングリーダー助成事業」でも「意外と悪くない朝食」をやりました。近いうちに報告します。
日本栄養・食糧学会 2006年(静岡)
1.濃度の異なるショ糖溶液が運動後のラットの体水分とグリコーゲンの回復に及ぼす影響。池田香代、横田由香里、鶴見保公、田井伸二、岡村浩嗣。
2.急速減量と緩徐減量が再給餌後のラットの体組成に及ぼす影響。田井伸二、鶴見保公、横田由香里、長谷川尋之、岡村浩嗣
3.溶液のショ糖濃度が運動時のラットの自発的飲用量及び生理的変化に及ぼす影響。長谷川尋之、田井伸二、鶴見保公、横田由香里、池田香代、岡村浩嗣
4.分岐鎖アミノ酸が減量時のラットの体組成に及ぼす影響。岡村浩嗣、田井伸二、濱田広一郎、桜井政夫。
Experimental Biology 2006, San Francisco
日本栄養・食糧学会 2004年(仙台)
1.急速な減量はラットの肝臓及び消化器の水分量とタンパク質量を減少させる。田井伸二 曽我部壮一 岡村浩嗣。
2.甘味、塩味、酸味、苦味の閾値に対する運動の影響。岡村浩嗣、原田八千代。
3.グルココルチコイド投与老化モデルラットの筋肉量に及ぼす高タンパク質間食の影響。原田八千代、曽我部壮一、岡村浩嗣、松尾達博、鈴木正成。
4.ラットの甘味に対する嗜好は運動後低下する。池田香代、原田八千代、岡村浩嗣。
Experimental Biology 2005, San Diego, CA
1.Exercise may decrease preference for sucrose solution in lower concentration but not in higher in rats. K Okamura, K Ikeda.
2.Resistance Exercise May Not Affect Skeletal Muscle Growth In Young, Protein-Pulse-Fed Rats. Y Tsurumi, Y Yokota, S Tai, K Okamura.
3.Rapid Body Mass Reduction May Not Be Associated With Greater Muscle Mass Decrease But Digestive Tract Decrease In Rats. S Tai, Y Tsurumi, Y Yokota, K Okamura.
4.Protein Pulse Feeding May Not Stimulate Skeletal Muscle Growth In Young Rats. Y Yokota, Y Tsurumi, S Tai, K Okamura.
Experimental Biology 2004, Washington DC
✓Preference for sweetness may decrease after exercise in rats. K Ikeda, Y Harada, K Okamura.
✓Tower climbing exercise with high-casein snack improves bone mass and strength in glucocorticoid-injected osteoporotic rats. T Matsuo, T Nozaki, S Gohtani, K Matsumoto, K Okamura, M Suzuki.
✓Single bout of exercise decreases threshold for sweet, salty and sour tastes. K Okamura, C Makimura, Y Harada.
✓Effects of rapid or slow body weight reduction on body composition in rats. S Tai, Y Harada, S Sogabe, K Okamura.
Experimental Biology 2003, San Diego
•Effects Of Conjugated Linoleic Acid And Exercise On Body Fat Accumulation In Rats. Y Harada, T Iwata, T Yamamoto, K Tsutsumi, K Okamura.
•Citrate Facilitates Post-Exercise Hepatic Glycogen Repletion In Fructose-Ingested Rats. K Okmaura, Y Harada, S Tai.
•Effects Of High-Protein Snack Feeding And Light-Resistance Training On Glucocorticoid-Induced Osteopenia In Rats. K. Matsumoto, N. Cho, S. Kanehara, T. Matsuo, K. Okamura, T. Doi, and M. Suzuki.
Experimental Biology 2008, San Diego
Exercise Nutrition Laboratory, Osaka University of Health and Sport Sciences